化学S の変更点

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*使用コース [#f381e9cf]
-全理系スーパーコース

*監修講師(テキスト作成者) [#v910f356]
-石川正明( - 2022年度)
--関西ローカル教材だった頃から編集していた。
--駿台化学科の講師の合議で作っている。
--2018年度まで教授資料の執筆者は、石川正明、高田幹士、吉田隆弘。

-2019〜2022年度は執筆者移行期間。
--2023年度より、高田幹士先生、吉田隆弘先生。
--2019年度より、高田幹士先生と吉田隆弘先生が石川正明先生の執筆者勇退のための4年間の引き継ぎ期間が始まった。
---監修担当は隔年周期で改訂されるテキストに則って、高田幹士先生は2019,20にPart1,2021,22にPart2を吉田隆弘先生はその裏となっている。

-2023年度より、本格的に高田幹士先生と吉田隆弘先生のみの監修になる模様。
(2019年度「化学S」教授資料より)

→[[駿台大阪校wiki_EX:化学S>https://newoskwest.wicurio.com/index.php?%E5%8C%96%E5%AD%A6S]]
*構成 [#u8481aac]
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''Part1''
-第1章 原子
--①原子、分子への道(化学の基本法則)
--②原子量と物資量(mol)
--③原子の構造とその分類
--④電子配置と周期表
-第2章 結合 
--①原子と電子の出入りのしやすさ
--②結合の種類
-第3章 結合-構造-性質
--①金属結晶
--②イオン結晶
--③分子構造
--④分子間力、分子結晶、共有結合結晶
--⑤結合による固体の分類(まとめ)
-第4章 酸・塩基・塩と中和反応
--①酸、塩基、中和反応の基礎
--②中和反応での酸と塩基の定量関係
--③[H^+]の計算-1-酸(aq)or塩基(aq)
--④[H^+]の計算-2-酸(aq)+塩基(aq)
--⑤中和滴定-1-基本操作
--⑥中和滴定-2-混合系の解析
--⑦酸性物質、塩基性物質と広義の中和反応
--⑧塩の加水分解反応、塩と酸の立場が入れかわる反応
-付録
--§1詳しい電子配置
--§2軌道の形と分子の形の予想
--§3演習問題の解答
--§4参考問題の解答・略解説
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''Part2''
-第1章 気体
--①気体についての法則
--②混合気体
--③理想気体と実在気体
-第2章 状態変化
--①物質の三態と状態図
--②状態変化
-第3章 溶液
--①溶解
--②溶液の性質
--③コロイド溶液とその性質
-第4章 反応の理論
--①熱化学
--②反応速度
--③平衡
-第5章 有機化学の基礎
--①有機化合物の分子式
--②異性体
-付録
--§1圧力の単位について
--§2微粒子の持つエネルギー
--§3エネルギーと乱雑さ
--§4炭素原子の詳しい結合形態
--§5有機化合物の名称
--§6演習問題の解答
--§7参考問題の解答・略解説
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''後期''
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''Part1''
-第5章 酸化還元反応、電気化学
--①酸化還元反応の基礎
--②酸化剤・還元剤
--③酸化還元反応式
--④酸化還元滴定
--⑤電池
--⑥電気分解
-第6章 沈殿、錯イオン生成、分解反応
--①沈殿反応
--②錯イオン生成反応
--③分解反応
-第7章 グループ別各論
--①単体グループ
--②(X,O,H)グループ
--③気体グループ
--④イオングループ
-第8章 元素別各論
--①Na,1族
--②Ca,2族
--③Al,両性元素
--④Cr,Mn,遷移元素
--⑤Fe,Co,Ni
--⑥Cu,11族
--⑦Zn,12族
--⑧Si,C
--⑨N,P
--⑩S,O
--11 Cl,17族
-付録
--§1気体の発生反応と検出法のまとめ
--§2陽イオンの系統分析例
--§3演習問題の解答
--§4参考問題の解答・略解説
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''Part2''
-第5章 有機化学の基礎
--①有機化合物の分子式
--②異性体
-第6章 脂肪族化合物
--①アルカン
--②アルケン
--③アルキン+アルカジエン
--④アルコールとエーテル
--⑤アルデヒドとケトン
--⑥カルボン酸とエステル
-第7章 芳香族化合物
--①芳香族炭化水素
--②酸素を含む芳香族化合物
--③窒素を含む芳香族化合物
-第8章 天然有機化合物
--①糖類
--②α-アミノ酸、ペプチド、タンパク質
--③脂質、セッケン、合成洗剤
--④核酸
-第9章 合成高分子化合物、染料、医薬品
--①合成高分子化合物
--②染料、医薬品
-付録
--§1炭素原子の詳しい結合形態
--§2有機化合物の名称
--§3有機反応の分類
--§4有機化学の実験
--§5演習問題の解答
--§6参考問題の解答・略解説
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-テキストの各章は、要項・基本チェック・演習問題(授業用問題)から成り、くわえて章末には参考問題(自習用問題)が数題ある。
--各章の要項は1ページにまとめられている。
--編集責任者の石川師曰く「もっと増やしても良かったが、駿台側の要請などもあり駿台化学科として1ページにまとめている」そう。
--基本チェックと演習問題をメインに学習していくと良いという声もあれば、参考問題もできる限り取り組むとよい。
--参考問題はどの章も後ろの問題ほど難度が高いがその分解説が丁寧になるという特徴がある。
また、奇問は省き、純粋な難しさを持つ問題を選んでいるらしい。とはいえ、全体として難易度の上限は低めな印象。
---2021年度から、物理SのExerciseや生物Sのチャレンジ問題集は電子テキストとなったが、化学Sの参考問題は電子テキストになっていない。
--付録として混成軌道の解説が詳しく載っている。
//ので、余力がある人は是非読んでみよう(特にPart1で混成軌道の話をしない講師が担当であった場合)。
*概要 [#nf6d6d68]
-東大・京大・国公立医学部をはじめとする最難関大学をメインターゲットとした教材である。
-テキスト番号の右にKマークがあり、関西の駿台が担当しているテキストである。
--駿台大阪校Wikiにも同じテキストについての記事がある([[駿台大阪校wiki:化学S]])。
--駿台化学科の文字の下に「駿台 化学」マークがある。
---ちなみに他のテキストでは化学特講Ⅰ(計算問題)にはあり、化学特講Ⅱ(無機化学)にはない。
--他の関西主導教科である生物や地理にはない。
-当初、関東では、関西教材は1998年度に[[京大理系スーパー>スーパー京大理系]]のみで導入されていたが、評判が高く、他コースにも導入の声が高まり、1999年度に導入に至ったとされる。
--当時の長老講師であった三國均師や関藤裕司師は、導入には頑なに反対していたという。
--それまでの関東テキストはほとんど問題のみでペラペラの薄モノであった。
-現在は、関東の吉田隆弘師もテキスト作成に関わっており、石川師を中心に駿台化学科全体でテキストを作成している模様。
-駿台文庫の「化学の発想法」を読むと、このテキストを編集した石川師の真意が分かってくる。
-現在は、『化学S Part1』『化学S Part2』であるが、以前[2006年度頃]までは『化学S−Ⅰ』『化学S−Ⅱ』だった。

*特徴 [#a994f405]
-非常に教育的な問題があつめられた良質なテキストである。
--出典は入試問題の他、石川師作成のものもかなりまざっているようである。どちらにしろ非常に教育的な問題ばかり。
--また、石川師は毎年入試問題をチェックしておられるため、新しい問題も多く収録されている。
--従来の高校での指導の誤りを指摘するため、あえてあまり宜しくない問題、新課程で削除された範囲等が講義用問題に入っていることがあり、そういった部分を担当講師が普通に解説して終わらせた場合は得られるものは少なくなってしまう。もっとも、講師によって授業に差が出るのはこのテキストに限った話ではない。
-授業で扱う問題は、難しいという人もいれば簡単という人もいる。いずれにしても化学のエッセンスを習得できる良教材であるという点では一致している。
--演習問題は簡単とまではいかなくても、そこまで難しいものでもない。
---吉田師曰く「考え方の習得を重視していて、問題自体はシンプルになっている」らしい。
--一方、そうはいっても今の受験生にはうろたえるような問題も多いという声もある。実際、京大や東工大を始め、各旧帝大の問題もかなり含まれている。
--星本悦司師いわく、重要問題集のB問題、C問題レベル。(重要問題集にCはないが、あるとすればということ)
---今までの勉強で頭を使わず、ただ計算をこなすだけ、といったことをしてきた者にとっては特にそうである。化学の思考力を養成することを目的とした、エッセンスが浮き彫りになる問題、「解ければよい」的な学習をしてきた人には反省を促すような問題が集められているといえよう。裏を返せば、出来なかった演習問題がある分野は、理解が不十分で根本的な穴があるとも言えるだろう。
-分量が凄く多い(分量的にはPart1<Part2)。
--そのため、補講を組む講師も多い。
--また、分量の多い教材を効率よく消化するため、関東圏では''プリント中心の授業''を行う講師も多い。
-関東には大橋憲三師や沖暢夫師、若手では黒澤孝朋師など批判的な講師も少数ながら存在する。
--特に沖師は化学S教材には概して批判的で、独自の基本事項のプリントを配布したり、基本チェックの解説におかしな部分があると言って解説を修正したり、本来自習用である参考問題を授業で扱ったりする。
--橋爪健作師も、化学Sの言い回しに遠回しに苦言を漏らすことがある。
--中村雅彦師も、批判ではないが、駿台化学科の独特な傾向に言及・注解することがある。「駿台に来た時、思ったんだよね。配位結合大好きだなぁって」
---ただ実際に大学以上で化学を学んでみると、化学Sへの批判的な意見も分からなくはない。基本チェックや解答の言葉遣いには駿台特有で昔ながらの言い回しも見られる。一見理論的だと思われる大学受験の解法も厳密に言えば都合のいい理屈で、実際は暗記する他ないということもある。
--このことからも化学科講師の中では少なからず対立があるようにも感じる。
--関西人気No.1の山下幸久師も「化学Sよりも化学Hの方が設問の網羅性が高く、Sテキストよりも良質なテキストである」と発言している。そして化学H用のプリントを化学S担当クラスに横流しする。
--なお、山下幸久師は2020年度からの作成者が変更された化学Hはボロカスに非難している。
-各パートについては以下のような傾向があるともいわれている。
--''前期Part1は誰がやってもあまり差はない''が、混成軌道を解説されると特に無機・有機で理解が充実する。
--一方、''Part2は講師による内容の差(特に気体と有機)が激しい''との声も。ただしテキストの内容で基本は押さえられるので、講師の良さがプラスアルファの要素と考えるのがいいだろう。
---Part1の方が講師が良い場合が多い傾向があることは否めない。どうしても気になるならば夏の化学特講などで補うとよい(夏のIとIIIで天然有機・合成高分子以外のPart2分野の殆どを網羅できる)。
--後期Part1の無機の元素別各論はほとんど扱わない講師も多い。
---講義内容をまとめたプリントの配布を行い自習扱いとしたり、講義は行うが演習問題はプリントで済ましたりというケースが多い。
---テキストの元素別各論の章の最初のページにも、「時間の関係上すべてを扱うことはできない。知識の確認のような問題も多いので、それらは諸君らの自習にまかせることになると思うので、あらかじめ了承しておいてほしい。」と書かれている。
-Part2前期の第5章(有機化学の基礎)は、後期のテキストにも再掲されている。
--これは、有機分野を一冊にまとめるためと、テキストの分量が多いために前期中に有機化学まで進まない講師が(特に関東では)多数いることを想定しているからである。
--関西圏の大学は関東圏の大学に比べて有機化学の比重が重いため、進度目標は関西が5章、関東が4章である。((星本悦司師談)
*授業 [#lafbc8b3]
-化学の背景にある理論の説明+問題の解き方の授業を行うことで、この教材の価値が十分に発揮する。
--どちらかというと多少難しい内容でも(場合によっては大学レベルの知識を使って)根本的に説明してくれる講師だと真価が発揮されるように思われる。
--逆に、解き方重視の授業を行い化学の背景にある理論を十分に解説しない講師、問題の背景にある理論を解説するよりも問題を優先して解説する講師の場合は、この教材の価値は落ちてしまうという声もある。
-前述の通り、分量の多い教材を効率よく消化するため、関東圏では''プリント中心の授業''を行う講師も多い。
-前期・後期でクラス替えが存在する校舎のことも考慮して、関東の化学科では進度を統一しているそうだが、一部の講師はそれを無視するそうで吉田師はそのことに苦言を呈していた。もしクラス替えによって進度にズレが生じたときは遠慮なく教務や講師に相談するべきだろう。
--「会議で今年は進度を守るように念を押して伝えたから大丈夫だと思うけど、もし問題があったら言ってね。困るのは君たちだから。」と吉田師も述べている。
-前述の通り、後期Part1の無機の元素別各論はほとんど扱わない講師も多い。
--講義内容をまとめたプリントの配布を行い自習扱いとしたり、講義は行うが演習問題はプリントで済ましたりというケースが多い。