東大入試詳解シリーズ のバックアップ(No.3)


東大入試詳解シリーズは、駿台文庫が出版する東京大学入試(前期日程)の科目別過去問題集である。



 

概要 Edit

  • 教学社の難関校過去問シリーズ「東大の〇〇」(通称「赤本」で以後はこれを意)に対抗して出版された東大の科目別過去問集。いわば駿台版25ヵ年シリーズ。通称「青本」。
  • 25年 英語 / 20年 英語リスニング(CD付) / 25年 数学(文科) / 25年 数学(理科) / 25年 現代文 / 25年 古典 / 20年 物理(上) / 20年 物理(下) / 25年 化学 / 25年 生物 / 25年 日本史 / 25年 世界史 / 25年 地理の全13点。

特徴 Edit

  • 年度版書籍ではない。
    • 2018年3月2日に発売。
    • 2020年3月5日~26日に第2版が発売された(「物理・下」は除く)。
  • 2017-1993年度の25年分を収録(物理を除く)。
    • 第2版は2019-1995年度の25年分を収録(物理を除く)。
      • 物理は上下巻を合わせると、なんと40年分にも達する。
    • 両版ともに3月という半端な時期の発売で、当年度分は収録されていない。
      • 本家青本の売上に響くからであろうか。
  • 地学の発売はない。
  • 過年度の青本の内容を再収録した科目と新たに書き下ろされた科目とがある。
    • 後述の通り、化学、世界史は過年度の青本の再編集ではなく新たな書き下ろしで、当シリーズとは別物の単行本と考えた方がよい。
  • 赤本か青本は駿台生に限らず、全東大受験生の必需品になるだろう。いやみんな青本シリーズ買ってよぉ〜頼むよぉ〜
  • 本体価格は全て2300円。つまり税込で2530円である。
    • 赤本の27ヵ年シリーズと同じである。
  • サイズは基本的にA5判である。物理のみB5判。
  • 構成は、「赤本」は主に出題単元別あるいは大問別で構成されているのに対し、「青本」は一貫して年度別で構成されている。
  • 赤本(難関校過去問シリーズ)の一部科目は駿台講師が執筆しており、もろに競合している。
    • 佐藤雅史師の英語(~第5版)、竹岡広信師の英語(第10版~)、桑原聡師(元講師)の現代文、柳田縁師の古典、塚原哲也師の日本史など。
    • 生物は、大森徹師ではなく、他予備校の大森先生なので要注意。
    • 駿台の東西対立の象徴として語られがちである。
  • 赤本プレミアム」も駿台講師が執筆している。
    • 『東大数学プレミアム』(米村明芳編著)、『東大現代文プレミアム』(古川大悟(元講師)・松本孝子編著)。
  • 他に競合するであろう過去問集は、鉄緑会の東大問題集や『大学への数学』の増刊号や河合出版の問題集などが挙げられる。
    • どれがよいかは、各自で実物を見て判断してほしい。自分が納得したうえで購入した方が後から後悔しにくくなる。ちゃんと見てもどれが良いかいまいちピンと来ない場合、ここのような情報元を大量に漁って決めるとよい。[独自研究]

科目別 Edit

  • 特記がない限り、編者名は駿台予備学校である。
  • 化学と世界史(と日本史の一部)は、過年度の青本の再編集ではなく新規書き下ろしである(ご本人及びご遺族の意向のためだと思われる)。
    • 化学、世界史は、当シリーズとは別物の単行本と考えた方がよい。

英語 Edit

  • 編集チームは、大島保彦、勝田耕史、斎藤資晴、佐山竹彦、武富直人、廣田睦美、増田悟
  • 誤植が多いので注意。
  • 読解分野では要約解答の明らかな誤答を含めて、ミスが多く見受けられる。
  • 作文分野は好評価を得ている。
    • 批判魔の竹岡師は、読解部分はしばしば批判するものの、作文部分は非常に高く評価している。
  • 赤本竹岡広信師の『東大の英語27カ年 第10版 (赤本)』)ともろに競合している。
    • 批判合戦にならないことを願いたい。
    • 両方買うか、あるいは友人と赤青別々に購入して、中身を自分で比較してもよい。
      • 赤本の正答率は非常に参考になる反面、解答プロセスの解説では青本に軍配が上がるようだ。
    • 問題の配列は、赤本が大問別、青本が年度別。

英語リスニング Edit

  • 赤本と比べると発音は綺麗。(本番の教室ガチャの存在をお忘れなく)
  • 収録年数の点ではかつては赤本に負けてしまっていた。
    • 第2版では2000~2019年の20年分になっており、ディスクが1枚増えて3枚になり、赤本との収録年数の差を埋めた。
  • 本番はこれの1.3倍程度のスピードで読まれる上に、発音がハッキリしていない箇所がそこそこある。徐々に聞き取れるスピードを上げていくとよい。
  • 各種東大模試過去問などの模擬問題集も購入して取り組むとよい。(内容を忘れているならば、受けた模試の復習も可)
    • 演習量も非常に重要な分野なので、キムタツと鉄緑会のものは最低限といってもいいくらいである。
    • というのも選択肢の数が5択になってから、あまり年数が経過していないためである。

数学(文科) Edit

  • 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
  • 冒頭の対策についての文章は、雲幸一郎師執筆のもの。
  • 明らかに赤本よりオススメである。赤本は問題を分野別に分類してしまっており、初見で問題を解くことを考えるとためにならないうえに、青本と同じ値段だからである。青本は赤本の完全上位互換といえる

数学(理科) Edit

  • 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
  • 冒頭の対策についての文章は、小林隆章師執筆のもの。
  • 赤本と比べると解答のセンスが良い。
  • 競合相手が最も多い科目である。競合相手とその特徴は以下の通りである。
    • 大学への数学シリーズ 入試の軌跡
      • 文理ともに50ヶ年掲載(後期込み)。受験報告が実践的で、息抜きになる。実は1年分あたりの値段で考えると赤本青本より安い
    • 鉄緑会 東大数学問題集
      • 10ヶ年と40ヶ年のものがある(後者は後期込み)。文理ともに掲載。科類別の目標点があり、参考になる。また、別解が豊富で、全ての解答方針に採点基準が付されている。これらのことから、使いやすさはピカイチである。値段は高いが、それでも講習1つよりは安いので、地方で予備校に通えない東大志望者は予備校の講習を1つ取るつもりで思い切って買うとよい。費用を気にしないなら、誰でもこれが最適解である。
    • 河合塾 72ヶ年
      • 指導者が買って過去問を研究するのに向いている。解説も丁寧ではないので、少なくとも受験生向きではない。
    • 東大数学で1点でも多く取る方法
      • 問題は文理別。赤本青本より掲載年数が少ない。泥臭い方法でもいいのでとにかく点を稼ぐことに焦点を当てている。
    • 東大数学 系統と分析
      • 文系理系で分かれている。一部赤本青本にない年度の過去問を含む。文科・理科でのみ出題された問題でも教育的なものは文系・理系のものにも掲載している。解答の目標時間が設定されており、参考になる。また、見開きに収まるように作られている。
    • 筆者の周りでは、青本・鉄緑会・大数ユーザーが多い印象である。参考程度に。
    • 下手に年数が多いものを買って大量に解き散らかし、消化不良を起こすくらいなら、少ない年数でもいいので丁寧にやったり、入試数学の掌握シリーズをやったりする方がよい。その辺の自制心がある者なら大数や鉄緑会の40ヶ年を買ってもいいかもしれない。絶版でマイナーではあるが築館師の執筆した 世界一わかりやすい 東大の理系数学 合格講座 (人気大学過去問シリーズ)なども悪くはない。

現代文 Edit

  • 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている。
  • 各所からの批判が多い。駿台内からも強く批判する講師が多数いる。
    • 本文の読解は普通だが、解答の作り方が微妙という関東駿台の特徴を体現している。
  • 冒頭の対策についての文章は、稲垣伸二師の書き下ろしで、吉本隆明の表出論を引用するなど独自の理論が展開されている。
  • 駿台内外からボロクソに批判されている。
    • 赤本並みもしくはそれ以上に酷い内容である。
  • ちなみに、赤本の方の著者も元関西駿台の桑原聡師である。
  • 上述の通り過去問集の解答が酷いので、そもそも現代文をきちんと対策するくらいなら、英語で85点以上を狙うなり古典を素早く終わらせるなりした方がよい。上級現代文などで実力をつけておいて、現代文の対策は模試を受けた際に時間配分を身体に叩き込むだけにしておくのも1つの作戦として有用である。というか第一に、他の科目の方が科目の性質上リターンをより見込めるのも事実である。

古典 Edit

  • 古文の解答・解説は上野一孝関谷浩
  • 漢文の解答・解説は三宅崇広、土屋裕(監修)。
  • 赤本(なお著者は関西駿台の講師)は批判の対象(特に古文が)になっているので、これか、鉄緑会のものを買うとよいだろう。
    • 鉄緑会のものは10年分しか載っていないが、メルカリなどで10年前のものを買う猛者もいたりする。

物理(上・下) Edit

  • 坂間勇森下寛之
    • 唯一B5判で上下の2冊発刊の科目である。
    • 基本的に過年度の青本の解説がそのまま再掲されているが、解説の薄いところやミスは森下師によって適宜、加筆修正されている(本人談)。
    • 冒頭の対策についての文章は書き下ろし。
      小倉師のテキストにあるような問題図一覧が掲載されている。
    • 本詳解シリーズでは唯一、上下合わせて38年分が収録されている。
      • 第2版では上の収録年数が20年に増え、上下合わせて40年分となった。
  • 高井隼人師がTwitterで褒めていらっしゃった。
  • 解説で微積物理を使いまくるので注意。これが嫌なら、鉄緑会のものを買うとよい(科類別目標点、配点付き)。だが逆に微積物理を使うなら青本の方が良いという声もある。自分のやり方に合うものを選ぼう。

化学 Edit

  • 大川忠
  • 物理の坂間勇師とは違い、過年度の青本の三國均師の解説は再掲されていない。
  • やはり、赤本や鉄緑会の過去問集と競合関係にある。が、鉄緑会のものは初版が2014年度用であり、古い問題もやりたければ青本を買うことになる。

生物 Edit

  • 競合する赤本は、大森徹師ではなく、他予備校の大森先生なので要注意。
  • 入試詳解シリーズでは唯一、生物だけが(京大入試詳解・生物も同様)解答解説集が別冊子となっている(問題が本冊子に掲載)。

日本史 Edit

  • 解答解説の執筆者は、福井紳一(出題分析と入試対策、2017~2003)、安藤達朗(2002~1993)。
  • 過年度の青本の解説がそのまま再掲されている(2003~2005年を除く)。
    • 未収録の2003~2005年の青本の解説は、元駿台講師で現・学研プライムゼミ講師野島博之師が書いたもの(野島師の解答は師のnoteをPDFで購入可能)。
  • 赤本塚原哲也師の『東大の日本史27カ年』)とモロに競合している。
    • 結果は皆さんご存知の通り

世界史 Edit

  • 解答解説の執筆者は、鵜飼恵太、金子隆、寺師貴憲、廣木俊昭、茂木誠、渡辺幹雄。
  • 現行の教科書に即して解答解説を全部書き換えている。
    • 実際、2002年の問題の解説に、現在(原稿を執筆している2017年)という記述があることからもこのことを窺える。
    • 特にイスラーム史は近年の学説の発展が目覚ましく、教科書の内容も大きく変わっている。
    • 渡辺師は書き換えをしない赤本と駿台日本史科を批判していた。
  • 解説には、その問題の関連事項や教科書から掘り下げた深い部分までがしっかり網羅されており、必ずしも知っておく必要はないものの理解の助けとなる箇所が多い。また、「これとこれは逆の関係」「次にこの考え方が復活するのはこの頃」などと、タテとヨコの網を張っている部分もあり、学習効率も良くなる。
    • 情報量が厖大なので、マーカーを使って、ここだけ分かれば大丈夫 ということが一目で分かるようにするのも一つの手ではある。
  • テーマ別東大世界史論述問題集(1989~2016)との重複有無は、第一問は概ね重複、第二問は殆ど重複なしである。テーマ別の方では、第三問を扱っていない。
    • よって、第3問も解きたいならこちらがオススメ。
    • が、あちらにしか載っていないテーマがあるのも事実ではある。また、本番に会場に持ち込むならあちらの方がコンパクトで便利である。
  • 過年度の青本の大岡俊明師の解説は再掲されていない。
    • このことに関して関西駿台世界史科元主任の中谷臣師はボロクソに批判している。それどころか、自身のサイトで誤りを大量に指摘していらっしゃる。買った人は是非一読を。

地理 Edit

  • 阿部恵伯 監著。
  • 問題の統計はその当時のままだが、阿部師の「地理は生きている」という考えから、解説には当時の青本の解説を転記するだけではなく、その統計の最新版を掲載し、それについての説明を追加してあり、25年分研究する価値のあるように編集されている。