安藤達朗
Last-modified: Tue, 25 Mar 2025 10:40:46 JST (25d)
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安藤達朗(あんどう たつろう)は、元駿台予備学校日本史科講師。元駿台予備学校日本史科主任教授。2002年没。
経歴 
- 1935年、台湾生まれ。
- 鹿児島県出身。
- 戦後、鹿児島に引き揚げる。
- 鹿児島県甲南高等学校*1卒業。
- 東京大学教養学部前期課程文科二類*2入学。
- 東京大学文学部国史学科卒業。
- 東京大学大学院人文科学研究科修士課程(比較文学比較文化専攻)修了。
- 修士論文「日本人の論理構造−総合的歴史観への試み」(1965年度)?
http://fusehime.c.u-tokyo.ac.jp/graduate/theses/m-showa.html
- 修士論文「日本人の論理構造−総合的歴史観への試み」(1965年度)?
授業 
- 師の講義では、個々の史実を因果関係によって結びつけ、その総体を一つの歴史の流れとして示すという歴史の考え方を学ぶことができる。
- 歴史を、政治・外交・経済・社会・文化に分けて考える、という態度を教える。
- 鹿児島訛りで、かつ吃音だったらしく、授業自体は聞き取りづらかった。
- 聞き取れるくらいになるまで慣れるのに一学期分は必要な人もいた。
- 板書は非常に考えられたレイアウトで、授業が聞き取れなくてもノートを見返せば十分であった。
- 毎回スリッパで授業に登壇していた。
- 「よ~うするにっ」が口癖。
担当授業 
通期 
- 日本史LⅠ
- 日本史LⅡ
夏期講習 
- 日本史近現代
冬期講習 
直前講習 
人物 
- 元日本史科主任教授。
- 東大・一橋などの難関国公立大向けの指導に定評があった。
- 「国立の安藤、私立の注連本」と言われていた。
- 『大学への日本史』(研文書院、1973年)の著者として校外生にも有名であった。
- 時代区分論について生涯考え続けていた。
- 社会的変動によって、あるいは社会全体の思潮によって、時代区分の設定がいかに恣意的に設定されてきたかという点を明らかにしていけば、たとえば発展段階論的な歴史観のもつ制約性を明らかにできるという考えがあった。
- 「学問は科学でなければならず、科学とは客観的なものだ」という考え方自体がヨーロッパ近代によってもたらされた観念である
- 「安藤先生はあくまでも一貫して、「時代区分論」という折り目正しい方向から、歴史学の再生を心から願ってやまなかった」(野島博之(2002))
- 歴史を学ぶ営為を以下のように記している。
- 『社会に生きる我々は、自覚的であろうとなかろうと、娯楽や文化の一つのジャンルとして、歴史に対してかなり主観的なアプローチをしている。アプローチの基準を一言でいえば、「面白いから」、あるいは「興味を惹かれるから」ということであり、多くの場合、過去の歴史は、歴史上の人物に自己を投影させるという営為をつうじて「未来への橋渡し」をしてくれることになる。ということはつまり、一見、面白さと興味を媒介にした、身勝手な自己投影願望を歴史叙述によって満足させようとする人々の姿勢は、実際のところ、過去のなかに未来をみつめるという点で大変ポジティブな性格を秘めている』(駿台フォーラムより)
- 高校時代から優秀で、教師にも意見していたという。
- 新谷師により、樺美智子さんを背負って逃げたという武勇伝が語られたが、おそらくは新谷師のホラ話に違いない。
- 当時の東京大学文学部国史学研究室には、後の歴史学者の笹山晴生先生(当時研究室助手)、金本正之師、伊藤隆先生(当時修士2回生)、安藤達朗先生(修士?)や国史学科学生の樺美智子さん(学部4年生)、鬼頭清明さんがいた。
- 樺さんが安保闘争で亡くなった時の合同慰霊祭にも参列、デモ行進にも笹山晴生先生とともに先頭で遺影を持って参加した。https://x.com/nojimagurasan/status/1828276296121721196
- 野島博之師が、安藤先生にこの時(1960年)のことを新聞の特集写真をみながら訊いたことがあるが、ニコニコしてあまり応えてくださらず、一言「樺さんはいつまでも歳をとらなくていいなあ」。(野島師Xより)https://x.com/nojimagurasan/status/1828276296121721196
- 樺美智子さんの遺稿集『人知れず微笑まん』(三一書房、1960年)には、「救対の安藤君よりカンパの報告あり」という一節がある。
- 逝去後、日本史科を代表して野島博之師が『駿台フォーラム』に追悼文を寄稿した。
著書 
学習参考書 
- 『合格日本史のまとめ』(安藤達朗 著/東大日本史研究会 編 研文書院、1972年9月)
- 『大学への日本史』(研文書院、1973年12月)
- 駿台のテキストとリンクしていたわけではないが、書いてあることは、安藤師の講義内容とほとんど同じだった。
- 東進ハイスクール講師の金谷俊一郎先生が持っている唯一の学習参考書。
私は、これと教科書と入試問題でプロになりました。
https://x.com/kanayadesu/status/1903996975206535571 - 佐藤優氏の企画で、リニューアル復刊されているが、
教え子でもない佐藤のせいで重厚さが失われている。
- 『大学への日本史問題集』(研文書院、1979年)
- 『大学への解説 日本史年表―対照式― 増訂』(藤木邦彦・鳥海靖・安藤達朗・比留間淳一 共著 研文書院、1982年4月)
- 『改訂 大学への解説 日本史年表―対照式―』(藤木邦彦・鳥海靖・安藤達朗・比留間淳一 共著 研文書院、1989年10月31日)
- 『駿台予備学校副読本 必修 日本史 問題精選(駿台受験叢書)』(駿台日本史科 編 駿台文庫、1981年6月20日)
- 『必修 日本史B 問題精選(駿台受験叢書)』(安藤達朗・注連本直哉 共著 駿台文庫、1996年5月14日(改訂新版))
- 「問題精選シリーズ」は、1991〜1994年に「センター試験短期攻略問題集シリーズ」*4としてリニューアルされたが、「日本史 問題精選」はリニューアル後も生き残った。
- 『駿台レクチャー叢書 安藤の日本史講義シリーズ〜駿台レクチャーシリーズ 日本史講義』(駿台文庫、)
- 1日本史の基礎知識
- 2時代の特徴と展開
- 3政治史の整理法
- 4思想史・文化史
- 5近現代史
- 第2巻以外は絶版
で、マニアの蒐集熱を煽っている。
- 第2巻以外は絶版
- 『日本史講義 時代の特徴と展開(駿台レクチャー叢書〜駿台レクチャーシリーズ〜駿台受験シリーズ)』(駿台文庫、1994年9月10日)
- 元々は、『駿台レクチャー叢書 安藤の日本史講義シリーズ〜駿台レクチャーシリーズ 日本史講義』1〜5の第2巻。
- 論述対策の定番。
- 塚原哲也師も勧めている。
- 和田秀樹氏は自分が紹介して東大受験生に浸透したように喧伝しているが、それ以前から人気があった。
一般書 
- 『大学入試 必ずワカる 日本史の学習法(駿台ブックス)』(駿台文庫、1987年10月)
- 『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世【教養編】』(安藤達朗 著/佐藤優 編集・解説/山岸良二 監修 東洋経済新報社、2016年3月30日)
- 『いっきに学び直す日本史 近代・現代【実用編】』(安藤達朗 著/佐藤優 編集・解説/山岸良二 監修 東洋経済新報社、2016年3月30日)
- 『いっきに学び直す日本史 【合本版】』(安藤達朗 著/佐藤優 編集・解説/山岸良二 監修 東洋経済新報社、2016年7月1日)
- 電子書籍オリジナル。
論文 
- 安藤達朗「時代区分をめぐって-歴史観の転換のために-」, 『駿台フォーラム』第16号, .
- 安藤達朗(2002)「時代区分を考えるために」(未完), 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .
- 遺稿。
参考文献 
- 野島博之(2002)「希求をやめない魂――安藤先生が教えてくれたこと――」, 『駿台フォーラム』第20号, 2002 , .