長岡亮介
Last-modified: Sat, 22 Mar 2025 16:13:27 JST (28d)
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長岡亮介(ながおか りょうすけ)は数学者。元駿台予備学校数学科講師。元明治大学理工学部数学科特任教授。
経歴 
- 1947年、長野県長野市生まれ、神奈川県横浜市育ち。
- 聖光学院中学校・高等学校卒業。
- 1966年、東京大学教養学部(前期課程)理科一類入学。
- 1972年、東京大学理学部数学科卒業。
- 1977年、東京大学大学院理学系研究科博士課程(科学史科学基礎編専門課程)単位取得退学。
- 数理哲学、数学史を専攻。
- 津田塾大学学芸学部数学科講師・助教授。
- 大東文化大学法学部教授。
- 放送大学教養学部(自然の理解専攻)教授( - 2008年3月)。
- 放送大学大学院文化科学研究科(文化科学専攻総合文化プログラム環境システム科学群)教授。
- 上智大学理工学部非常勤講師。
- 明治大学理工学部数学科特任教授(2009年 - 2017年3月)。
- TECUM代表。
授業 
- 師はその頭のよさゆえに、予習せずに教壇に立った。
- テキストの予習はしておらず、テキストの問題解説では、初めて問題を解く最初の授業ではなかなか進まないが、2番目以降にあたったクラス(特に延長できる午前最後の四時限目)では研ぎ澄まされた解説を聴けた。
予習をしていないので授業中は前方の生徒に「どのような方針で解くか?」と質問していた。- 生徒が答えるとたいてい「そんな解法はダメだ。」と言っていた。ごくまれにいい解法を答えると褒めることもあった。
- 哲学じみた雑談の合間に授業を進めるといっても差し支えないほどのものであった。
- が、その雑談に啓蒙される者も少なくなく、なんといっても師の解答解説は数学の奥深さを感じられるものであった。
- 旺文社の『全国大学入試問題正解』の東京大学の解説にその片鱗を伺い知ることができる。
- 生徒の授業態度には厳しかった。
- 「長岡先生はガムをかむのだけは許さない人だった。 生徒がガムをかんでいるのをみると、 『吐き出すな!飲み込め!』と言う人だった。」(山口紹師談)
- ガム以外でも(当たり前だが)授業中に寝てたり、話したりしても激怒されていた。
- 学会で師が授業出来ない時は補講をせず、理Ⅲ(師の教え子?)の学生に代講をさせていたという。
- 延長してもご自身の休み時間はキッチリ取るため、次の授業の始業時間がどんどん遅れて行った。
担当授業 
通期 
夏期講習 
- 数学的数学考究―または記号論理の主題による数学的変奏曲
- 1992年度頃にPART I、PART IIに分かれた。
- 数理世界の探検
- 1992年度に、当時、代ゼミの安田亨師が見学。
- 図形問題の多角的研究
- 数学最高峰(解析編) 長岡亮介・渡辺理史
- 数学最高峰(幾何編) 長岡亮介・雲幸一郎
冬期講習 
- 最後の高校数学
- 東工大の数学演習 1984年度
- 過去問が20年分付録としてあり、さらにその20年分から問題を26に分類して類似問題を集めています。
直前講習 
特設単科講座 
- 大学への数学 演習編
- 大学への数学 微積編 1992 - 年度
衛星単科(駿台サテネット21) 
- 数学の冒険
人物 
- 数学者(近現代数学史、数理思想史)。
- 専門は、近現代数学史、数理思想史、そして最近は情報科学論。
- 「数学の意味を追いかけていったら、数学史にたどりつき、最近は、進展するICT革命に、数学哲学と数学史の立場から強い関心をもっている」
- 現在、意欲ある若手数学教育者を支援する組織「TECUM」を主宰。
- テキストのやり残しの埋め合わせに信者に作成させた解答をそのまま配布して授業を終えるなど予備校講師としてはいささか「雑」な側面も持ち合わせ、その長く時に説教じみた雑談と相まって一部の生徒の間での評判は芳しい物ではなかった。
- 大学教員との兼職であったため、通常授業、講習ともに担当する授業数は限られていた。
- 1990年代末まで箱根セミナー東大コースへも出講していた。
- 駿台から独立した池袋の駿友予備学校(のち駿優予備学校)にも、創立当初から1988年度頃まで出講し、テキストも編集していた。
- よくあるペンネームなどは使わず、一貫して本名を名乗っていた。
- 若い頃から口ひげを蓄え、
偉そうな貫禄のある立ち振る舞いをしており、独特の雰囲気があった。 - 津田塾講師時代は勘違いしてサーファーっぽく決めていたらしい。
- また、授業態度の悪い学生に激高し、黒板消しで頭を叩くなど、厳格な面を持ち合わせており、このようなところも一部の学生を惹きつける魅力であったのだろう。
- 駿台生の間で、師は理三から理学部数学科に進学したという噂が流れたが、本人が講義中に否定している。
- 市谷校舎を批判したり、そもそも医者という職業を小馬鹿にした発言もあった。
- 「医者なんて自動車修理工と同じ、何も創造しない」
- これを駿台OBの理三生を教室に並べて発言したらしい。
- 「医者なんて自動車修理工と同じ、何も創造しない」
- 「東京大学は有能な一人を造るために残りの9割以上を犠牲にする」とも。
- 「東大、東大とマスコミや世間でははやしたてていますが、研究者として使いものになる東大生は上一割から三割ぐらいです。残りは授業にもついて行けず、四年で就職してしまう人がほとんどです。君たちもせっかく大学に入るのだから、上一割に入ってほしい」*1
- 安田亨師の代々木ゼミナールからの移籍を仲介したらしい。
- 1991年度の講義中に「代ゼミのYが会いに来た。」と発言していた(安田師の移籍は1994年度)。
- 予備校の教壇を降りた今なお、大学受験業界において影響力を持ち続けている。
- 「大学への数学」シリーズ(研文書院)(いわゆる黒大数)は師の代表的な著作である。
- 大学の恩師である藤田宏氏に、黒大数への執筆参加を依頼された際は、月刊大数と勘違いしていた。
- 「寺田の鉄則」の寺田文行先生から、本人直々に「鉄則の跡を継ぐのは君だ!」と後継者に指名された
が、本人は嫌がっていた。- 「寺田の鉄則」や「チャート式」については<鉄則>や<チャート>のような解法の公式化には批判的だったが、参考書としては評価はしていた。
- 「寺田の鉄則」は、1989年に旺文社の「総合力完成シリーズ」が「詳解シリーズ」にリニューアルされる際、「鉄則シリーズ」として分離・独立したが、その時に長岡師は『大学受験 詳解 数学I』を上梓した。
- その後、詳解→本質がつかめる→本質の研究→総合的研究と改訂されて今に至っている。
- 師の伝説の夏期講習「数学的数学考究―または記号論理の主題による数学的変奏曲」が、『総合的研究』の別巻として書籍化されている。
- なお、「大学への数学 (研文書院)」のWikiprediaでは、「(黒大数の絶版後に)2015年入試以降の課程用に旺文社から大学受験参考書「総合的研究シリーズ」の数学分野で執筆。研文書院版大学への数学の理想に近い体裁の参考書として上梓した。」と書かれているが、上述のように「総合的研究シリーズ」の前身は黒大数の絶版前から出版されており不適切である。
- 計算問題が苦手だったためか、くもん式には否定的である。
- 「この前、岡山に出張に行ったら、(岡山が本拠地の)進研ゼミの福武書店(現・ベネッセ)が『一緒にやりませんか?』と近づいて来た。嫌だったが、『一緒に公文式を潰すのなら協力しましょう!』と言っといた。」
- いわゆる「暗記数学」には一貫して批判的姿勢を貫いてる。
- 暗記数学が一般にも浸透し始めた1988年度当時の旺文社の大学受験ラジオ講座において、「数学は暗記だという人はナイーヴ(単純バカ)なんですね。」と発言している。
- 安田亨師が「私は過去○○年分の数学の入試問題を覚えています!」と自慢した際には、「だから何?」と答えたらしい。
- 元・駿台予備学校数学科講師で、現・東進ハイスクール数学科講師の長岡恭史師は実弟である。
- 駿台での在職期間が重なり、兄弟の顔写真が仲良く並んでパンフレットに掲載されていた。
- 長岡兄弟の幻の共著『傾向と対策 基礎解析』(旺文社)は、ほとんどは弟が書き、兄は
パラパラ、チェックした監修しただけだったという。 - https://sankosho.biz/2018/01/12/daigakunyu-shikeikoutotaisaku-kisobunseki1993/
- 元オフコースの小田和正氏、鈴木康博氏は聖光学院中高の同期。
- まれに講義中の雑談で「私の友達に小田っていうのがいるんだけど…」と、小田氏に触れることもあった。
- 「私の学生時代は決められた道から外れることが流行った。オフ・コースって私の友達は歌うたっていますけどね。」とも。
著作 
学習参考書 
- 『大学受験 詳解 数学I』(長岡亮介 著 旺文社、1989年3月20日)
- 『本質がつかめる 数学I・A』 (長岡亮介 著 旺文社、1996年10月)
- 『本質がつかめる 数学II・B』(長岡亮介 著 旺文社、1999年4月)
- 『本質がつかめる 数学III・C』 (長岡亮介 著 旺文社、2000年9月)
- 『本質の研究 数学I+A』(長岡亮介 著 旺文社、2004年3月1日)
- 『本質の研究 数学II+B』(長岡亮介 著 旺文社、2004年)2005年03月01日
- 『本質の研究 数学III+C』(長岡亮介 著 旺文社、2005年3月)
- 『旺文社 大学受験 総合的研究 数学I+A』(長岡亮介 著 旺文社、2012年9月)
- 『旺文社 大学受験 総合的研究 数学II+B』(長岡亮介 著 旺文社、2013年9月24日)
- 『旺文社 大学受験 総合的研究 数学III』(長岡亮介 著 旺文社、2014年9月24日)
- 『旺文社 大学受験 総合的研究 論理学で学ぶ数学―思考ツールとしてのロジック』(長岡亮介 著 旺文社、2017年5月26日)
- 『【音声DVD-ROM付】長岡の教科書 数学I+A 全解説 』(旺文社、2015年) ISBN 978-4010377055
- 『【音声DVD-ROM付】長岡の教科書 数学II+B 全解説』(旺文社、2015年)ISBN 978-4010377062
- 『【音声DVD-ROM付】長岡の教科書 数学III 全解説 (長岡の教科書 全解説) 』(旺文社、2017年) ISBN 978-4010377079
- 『YouTubeで学べる長岡先生の集中講義+問題集 数学III』(旺文社、2018年) ISBN 978-4010377109
- 『YouTubeで学べる長岡先生の集中講義+問題集 数学I+A+II+B 上巻』(旺文社、2018年) ISBN 978-4010377109
- 『YouTubeで学べる長岡先生の集中講義+問題集 数学I+A+II+B 下巻』(旺文社、2018年) ISBN 978-4010377093
共著 
- 『大学への基礎解析(大学への数学シリーズ)』(中田義元・長岡亮介・藤田宏 共著 研文書院、1983年3月)
- 『大学への代数・幾何(大学への数学シリーズ)』(中田義元・長岡亮介・藤田宏 共著 研文書院、1984年9月)
- 『大学への微分・積分(大学への数学シリーズ)』(中田義元・根岸世雄・長岡亮介・藤田宏 共著 研文書院、1985年5月)
- 『大学への数学I ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 共著 研文書院、1991年2月)
- 『大学への基礎解析 ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 共著 研文書院、1992年2月)
- 『大学への代数・幾何 ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 共著 研文書院、1992年4月)
- 『新課程 大学への数学I ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 共著 研文書院、1994年5月)
- 『新課程 大学への数学A ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長崎憲一・長岡恭史 研文書院、1995年2月)
- 『新課程 大学への数学II ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 共著 研文書院、1996年1月25日)
- 『新課程 大学への数学B ニューアプローチ』(藤田宏・長岡亮介・長崎憲一 共著 研文書院、1996年2月)
- 『新課程 大学への数学III・C ニューアプローチ』藤田宏・長岡亮介・長崎憲一・長岡恭史 共著 研文書院、1997年6月)
- 『大学への数学I』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史・木部陽一・柴山達治 研文書院、2003年5月)
- ニューアプローチと統合された。
- 『大学への数学A』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史・木部陽一・柴山達治 研文書院、2003年10月)
- 『大学への数学II&B』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史・木部陽一・柴山達治 研文書院、2004年7月13日)
- 『大学への数学III&C』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史・木部陽一・柴山達治 研文書院、2005年)
- 『大学への数学スペシャル 東大・東工大』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 研文書院、2001年)
- 『大学への数学スペシャル東大・東工大-ハイレベル指向・最重要問題103題』(藤田宏・長岡亮介・長岡恭史 研文書院、2006年)
- 『傾向と対策 基礎解析 1991年受験用』(長岡亮介・長岡恭史 共著 旺文社、1990年)
- 安田亨先生の後任。
- 『傾向と対策 基礎解析 1992年受験用』(長岡亮介・長岡恭史 共著 旺文社、1991年)
- 『大学入試9 傾向と対策 基礎解析 1993年受験用』(長岡亮介・長岡恭史 共著 旺文社、1992年)
- 『大学入試8 傾向と対策 基礎解析 94』(長岡亮介・長岡恭史 共著 旺文社、1993年)
監修 
- 『本質の解法 数学I・A』(安光秀生 著 旺文社、2003年)ISBN 9784010332146
- 『本質の解法 数学II・B』(安光秀生 著 旺文社、2004/3/1)ISBN 9784010332153
- 『本質の解法 数学III・C』(安光秀生 著 旺文社、2005年)ISBN 9784010332160
- Wikipediaでは共著になっているが監修。
- 『本質の演習 数学I・A』(旺文社、2003年)ISBN 9784010332177
- 『本質の演習 数学II・B』(旺文社、2004年)ISBN 9784010332184
- 『本質の演習 数学III・C』(旺文社、2005年)ISBN 9784010332191
一般書 
- 『初歩からの数学』(共著)(放送大学教育振興会、2008年)ISBN 9784595308628
- 『数学再入門 DVD-ROM付』(放送大学教育振興会、2007年) ISBN 9784595307485
- 『情報システム科学』(共著)(放送大学教育振興会、2006年)ISBN 9784595126079
- 『数学とコンピューター』(共著)(放送大学教育振興会、2006年)ISBN 9784595306556
- 『東大の数学入試問題を楽しむ: 数学のクラシック鑑賞』 (日本評論社 2013年) ISBN 9784535785809
- 『数学再入門:心に染みこむ数学の考え方』 放送大学教材のリメーク DVD無(日本評論社 2014年) ISBN 9784535785854
- 『数学の森―大学必須数学の鳥瞰図』岡本和夫との共著(東京図書 2015) ISBN 9784489022203
- 『数学の二つの心』 (日本評論社 2017年) ISBN 9784535785946
専門書 
- 『線型代数入門』(放送大学)
- 『線型代数学』(放送大学)
- 『長岡亮介 線型代数入門講義-現代数学の《技法》と《心》』(長岡亮介 著 東京図書、2010年9月)
- 『長岡亮介 はじめての線型代数』(長岡亮介 著 東京図書、2024年4月)
- 『ニュートン自然哲学の系譜』(共著,「知の革命史2)1982,朝倉書店)